府中・大國魂神社の活気あふれる「酉の市」

京王線府中駅南口を出て目の前のケヤキ並木の先にたたずむ、大國魂神社。日頃から地元市民に愛され、初詣やお祭りの時には日本全国からの多くの参拝客でにぎわいます。
普段の静かな心休まる空気感と、お祭りの時の華やかな空気感。どちらも感じることのできる、魅力的な場所です。

今回は、そんな大國魂神社で毎年11月に開催される、伝統的なお祭り「酉の市」をご紹介します。

酉の市とは?

11月になると、全国の「鳥」と名のつく神社で酉の市が開催されているのを目にしますよね。
酉の市とは、毎年11月の酉の日におこなわれる、開運招福や商売繁盛を願う伝統的なお祭りです。酉の日は、年によって11月中に1〜3回巡ってきます。
1回目を一の酉、2回目を二の酉、3回目を三の酉と呼ぶそうです。2025年は、11月12日(水)が一の酉、11月24日(月・振休)が二の酉にあたります。

このお祭りの特徴といえば、縁起物の熊手。
もともと農作物や落ち葉をかき集める農具ですが、「福をかき集める」という意味に転じて縁起物となりました。また、鷲の爪の形に似ていることから、「福を鷲掴みする」という意味合いも持つそうです。
おかめ、大判小判、千両箱など、様々な縁起物が飾り付けられた熊手が並ぶ熊手市は酉の市の象徴的な光景になっています。

大國魂神社で酉の市を行うのはなぜ?

そもそも、なぜ大國魂神社で酉の市が開かれるのでしょうか?
実は、大國魂神社の酉の市は、「大鷲神社」の祭礼なんです。

大國魂神社の境内には、大阪の大鳥神社のご分霊を祭祀する大鷲神社があります。明治時代に府中市内の新宿という地域から移され、大國魂神社境内の末社住吉神社と合祀されました。

もともとは武運長久の神として武士の間で信仰の厚い神様だったそうですが、のちに開運招福・五穀豊穣・商売繁盛の神様として庶民にも広く崇敬されるようになったと言われています。

大國魂神社の境内に大鷲神社があるので、大國魂神社でも酉の市が開催されているんですね!

そして、大國魂神社の酉の市は関東三大酉の市のひとつに数えられるそうです。
東京都文京区の鷲神社、新宿区の花園神社とともに、江戸時代から続く伝統を今に伝えています。

活力に満ちた酉の市の様子

大國魂神社の酉の市当日には、熊手や大鷲神社紙札が頒布されます。
境内に立ち並ぶ熊手市や露店がたくさんの参拝客でにぎわう様子は圧巻です。

11月24日の二の酉の日に伺いました。
祝日だったこともあり、参道入り口の大鳥居の前にはすでに参拝者の方々がたくさん!
大鳥居の手前付近から、わたあめやたこ焼きなどの露店が立ち並んでいました。香ばしい良いにおいに食欲をそそられながらも、まずは参拝すべく参道を進んで行きましょう。

参道には提灯が多く飾られていて、伝統的な光景とにぎやかな雰囲気を満喫できます。

食べ物の露店群の先、手水舎の手前あたりにあるのは酉の市の象徴、熊手市です。参道の左右の露店にさまざまな熊手が飾られていて、買い求めに来た人や見物している人が多くいました。

手のひらサイズのものから成人男性の身長ほどの大きさのものまで、たくさんの色鮮やかな熊手が飾られていて、圧巻の光景です。

熊手を購入した人の商売繁盛や幸福を祈願し、拍子木を打ち鳴らす音があちらこちらから響いてきました。「◯◯様の商売繁盛を祈願して!よぉ〜!繁盛!繁盛!繁盛!」という威勢のいい掛け声とともに、「カンカンカン!カンカンカン!カンカンカン!カン!」と拍子木を打ち鳴らします。周りの参拝客の方々も笑顔で手拍子をして参加していましたよ。

熊手には、伝統的な買い方があるそうです。最初は小さな熊手から始めて、毎年徐々に大きなサイズに買い替えていく、というもの。また、購入した熊手は「上に、上に、運気が上がる」ように、できるだけ高く持って持ち帰ると良いそうです。実際に、購入した熊手を高くかかげて参道を歩いている人を多く見かけました。

拝殿へと続く随身門の手前には、大國魂神社の名前の入った大きな熊手がありました。鯛やおかめ、大判小判に米俵など、縁起の良いものがぎっしりと飾り付けられています。

拝殿の手前、向かって右手にある授与所では、熊手が頒布されていました。

熊手は3種類の内から選び、授かることができます。手のひらサイズのかんざし守や、稲穂が付けられた小さな熊手もありました。大きな熊手は飾るのが難しい、というご家庭にも嬉しいですね。

大國魂神社の拝殿と、大鷲神社・住吉神社へ参拝

拝殿まで進み、賽銭箱前の列に並んでお詣りしました。
日頃の感謝をお伝えして、拝礼します。

酉の市当日は、拝殿向かって右側にある大鷲神社への参拝列も作られていました。

昼過ぎに伺ったのですが、境内末社大鷲神社に参拝するために大勢の人が並んでいました。

大國魂神社の酉の市には、例年約8万人以上の方が訪れます。曜日によって異なりますが、午前11時ごろと仕事終わりの夕方以降が特に賑わう時間帯だそうです。
より活気に溢れる雰囲気を楽しみたい方はお昼や夕方の時間帯、静かに参拝したい方は早朝や夜間の参拝をおすすめします。

日中とはまた違う、夜の境内の雰囲気

2025年の酉の市期間の開門時間は、午前6時から午後10時まで。
日中とはまた違う夜の酉の市の魅力を感じるべく、20時ごろにもう一度伺いました。

20時ごろはまだほとんどの露店が開いており、多くの人が行き交っていました。
夕飯時なのもあり、焼きそばやたこ焼きなどの香りが食欲をそそります。
露店群や参道に掲げられた提灯には灯りがともり、明るい時間帯よりさらにノスタルジックな雰囲気です。

熊手市もたくさんの灯りで照らされ、より一層華やかな印象になっていました。熊手の装飾に明かりがキラキラと反射して、多くの福を呼び込んでくれそうな気がしてきますね。

日中よりは参拝客の数が少なめで、ゆっくりと見て回ることができましたよ。

伝統を肌で感じる「酉の市」

多くの参拝客でにぎわう、活気溢れるお祭り「酉の市」。
飛び交う掛け声や熱気で満ちた華やかな雰囲気に、元気をもらえた気がしました。

大國魂神社では、5月のくらやみ祭りや7月のすもも祭りなど、多くのお祭りが開催されています。一年を通して様々な表情を見せるこの地で、府中市の古くからの伝統を感じてみてはいかがでしょうか。

大國魂神社 酉の市
住所:東京都府中市宮町3-1
交通アクセス:京王線「府中駅南口」から徒歩約5分
JR南武線・武蔵野線「府中本町駅」から徒歩約5分
駐車場:参拝者用無料駐車場あり
■新宿方面より:稲城ICで降り、府中市街方面へ進み約10分
■八王子方面より:府中スマートICで降り、約10分
開催期間:一の酉 11月12日(水曜)
二の酉 11月24 日(月曜・祝日)
開門時間:6:30~22:00

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。
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くろみつ
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府中近郊に住んで20年以上、子供の頃からいつも府中で遊んでいました。歴史と新しさの入り混じる、府中の魅力をお伝えします!